最終更新日: 2025年07月07日
CBNホイールとは?
この記事の著者
氏名:名倉 惇史(なぐら あつし)
肩書:営業技術部 係長
業界経験:研削加工向け営業技術9年
得意分野:自動車・航空機部品・工具関連の加工への提案
外部発信:アペルザTV 登壇
CBNホイールは、鉄鋼系材料の高精度研削に特化した
超砥粒ホイールです。正式名称は「立方晶窒化ホウ素(Cubic Boron Nitride)」で、
ダイヤモンドに次ぐ硬度と、鉄との優れた化学安定性を持っています。このため、金属加工の現場では従来の砥石では実現が難しかった品質・効率の向上に大きく貢献しています。
従来の一般砥石では実現しにくかった高い寸法精度と表面仕上げが可能になり、生産効率の向上やコスト削減にも効果的です。
鉄系部品の加工が不安定…そんな悩みを解決できます。
CBNホイールの種類や特徴を理解することで、加工の課題をスムーズに解決し、生産性を向上させる選定が可能になります。
研削加工とは
研削加工は、砥石の硬い砥粒で金属やセラミックスの表面を微細に削り、寸法精度や表面粗さを整える仕上げ工程です。特に切削では対応できない高精度な仕上がりが必要な場合に用いられます。
代表的な研削加工には以下の種類があります。
- 外径研削:丸棒などの外周を加工
- 内径研削:穴や内面を加工
- 平面研削:平らな面を加工
加工精度と安定性を両立するため、CBNホイールは重要な選択肢
CBNホイールの基本概要と仕組み
CBNホイールは、CBN砥粒を結合剤(ボンド)で固定した研削工具です。ホイール表面の砥粒が回転し、被削材の表面を連続的に切削します。
特にCBN砥粒は、
耐摩耗性・耐熱性・化学安定性に優れ、鉄鋼系の加工で砥粒が摩耗や溶着しにくい特性を発揮します。
項目 | CBNホイール |
一般砥石 |
硬度 | 非常に高い | 中程度 |
耐摩耗性 | 高い | 低い |
熱安定性 | 高い | 中程度 |
高精度の加工が安定しない…その原因は砥石にあります。
ダイヤモンドホイール・一般砥石との違い
CBNホイールは、鉄系材料の研削に特化しており、ダイヤモンドホイールは非鉄金属やセラミックスの加工に適しています。一般砥石と比べ、耐摩耗性・耐熱性が高く、工具寿命が長い点も特徴です。
鉄系素材にダイヤモンドホイールを使うと化学反応で摩耗が早まるため注意が必要です
- ダイヤモンドホイール:非鉄金属や硬脆材料向き
- CBNホイール:鉄鋼系材料向き
- 一般砥石:コスト重視の一般加工向き
CBNホイールが適する加工・適用分野
CBNホイールは次のような用途に適しています。
- 工具鋼や合金鋼など硬質材の高精度仕上げ
- 自動車部品(ピストンリング、ニードルベアリングなど)の大量生産
- 金型・精密部品の表面仕上げ
CBNホイールを導入することで加工精度が安定し、
加工能率が1.5倍から2倍に向上したという事例もあります。
高精度加工の量産で悩んだらCBNホイールを検討してみてください。
CBNホイール、
鉄系材料、
研削加工は重要なキーワードとして覚えておきましょう。
CBNホイールの種類と各ボンドの特徴
CBNホイールには、用途や加工条件に合わせて選べる複数のボンド(結合剤)の種類があります。それぞれの特性を理解し、適切に選定することで、
加工精度やコスト効率を最大化できます。
どのボンドを選んだらいいか分からない…そんな方は必見です。
ビトリファイドボンド・レジンボンドの特長
ビトリファイドボンドは、ガラス質の無機結合剤で砥粒を固定する方式です。気孔が多く切れ味に優れ、冷却効果も高いので、
高精度仕上げと切れ味の持続性を両立します。
一方、レジンボンドは合成樹脂を結合剤に使用し、加工面の仕上がりが滑らかで衝撃吸収性に優れる特長があります。
ボンド種類 | 特長 | 主な用途 |
ビトリファイド | 切れ味が持続しやすい | 高精度仕上げ |
レジン | 仕上がり面が滑らか | 汎用加工・高表面品位 |
メタルボンド・電着ホイールの特長と選定基準
メタルボンドは金属粉末を結合剤とし、非常に高い耐摩耗性と長寿命を実現できます。高硬度材料の加工や量産用途で多く採用されています。
電着ホイールは砥粒を一層のみ金属で固定した構造で、切れ味が鋭く、形状保持力に優れます。複雑な形状の加工や小径工具に適しています。
寿命を伸ばしたいならメタルボンドが有力な選択肢です。
- メタルボンド:高硬度・大量研削向け
- 電着:形状保持・小径加工に最適
用途別に見る最適なCBNホイールの選び方
加工する材質やロット、仕上げ精度によって選ぶべきCBNホイールは異なります。
以下は選定の参考例です。
用途 | 推奨ボンド | ポイント |
高精度仕上げ | ビトリファイド | 切れ味と冷却性重視 |
大量生産 | メタル | 耐摩耗性を最優先 |
複雑形状加工 | 電着 | 形状保持性重視 |
CBNホイールの種類、
ボンド選定、
用途別特長を把握しておくと、加工の失敗を防げます。
よくある質問(FAQ)
CBNホイールの導入を検討する際、多くの方から寄せられる質問とその回答をまとめました。これから選定・使用する際の参考にしてください。
Q1. CBNホイールとダイヤモンドホイールはどちらが長持ちしますか?
CBNホイールは鉄系材料の加工において、
非常に高い耐摩耗性と安定した寿命を発揮します。ダイヤモンドホイールは非鉄金属やセラミックス向けで、鉄鋼系では化学反応で摩耗が進むため寿命が短くなる場合があります。鉄系材料を加工する場合は、CBNホイールを選ぶのがおすすめです。
Q2. CBNホイールの寿命はどれくらいですか?
使用条件(回転数、切り込み量、冷却条件など)により異なりますが、一般砥石の10倍以上の寿命が期待できます。量産現場では定期的にドレッシングを行うことで、
常に安定した研削性能を維持できます。
Q3. どのボンドを選べば良いですか?
用途と加工条件によって選定が変わります。
用途 | 推奨ボンド |
高精度仕上げ | ビトリファイド |
大量生産 | メタル |
複雑形状加工 | 電着 |
選定に迷った場合は、メーカーや専門業者へ相談することをおすすめします。
Q4. CBNホイールを導入するとコストは上がりますか?
初期費用は一般砥石より高価ですが、
長寿命と加工精度の安定化によりトータルコストは低減するケースが多いです。交換頻度や加工不良の低減で経費削減につながります。
Q5. ドレッシング(目立て)は必要ですか?
はい。CBNホイールも定期的にドレッシングを行う必要があります。ドレッシングを適切に実施することで、
切れ味を維持し、研削熱の抑制や加工面の品質向上が可能です。ドレッシング頻度は使用条件や加工対象により異なります。
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