研削盤の種類を比較|用途や加工精度に応じた選び方のポイント

コラム

最終更新日: 2025年06月06日

研削盤の基本

製造業や金属加工の現場で、高精度な加工を求められる際に欠かせないのが「研削盤」です。
しかし一言で研削盤といっても、その種類は多岐にわたり、加工対象や目的に応じて適切な機種を選ぶ必要があります。

どの研削盤を選べばいいか分からない…


この記事では、 研削盤の基本から代表的な種類、特徴、加工方式の違い、さらには選び方のポイントまでを徹底的に解説していきます。
特に、以下のような方に役立つ内容を網羅しています。 まずは、研削盤の基本的な定義や、他の加工方法との違いから確認していきましょう。
研削盤
研削盤とは? 用途別の種類と特徴、操作方法と安全対策まで詳しく解説

研削盤の基礎知識はこちらから!

研削盤とは

研削盤とは、砥石を用いてワーク(加工対象物)を高精度に仕上げる工作機械です。
回転する砥石の表面で金属やセラミックなどを削り取り、微細な寸法調整や表面の平滑化を行います。

寸法精度を上げたいときは研削盤


研削盤は、最終加工工程で使用されることが多く、製品全体の品質を左右する重要な設備です。

使用される砥石の材質や形状によって、硬質材から軟質材まで幅広いワークに対応可能です。
また、NC制御によって自動化も進んでおり、技能継承の課題解決にも寄与しています。

他の加工との違い

切削加工や研磨加工とよく比較される研削加工ですが、以下のような違いがあります。
加工方法 特徴 主な用途
切削加工 バイトなどの刃物で削る 粗加工、形状出し
研削加工 砥石で細かく削る 高精度な仕上げ
研磨加工 バフや研磨材で磨く 表面の光沢出し

精度が必要なら研削加工


研削加工は、0.001mm単位の寸法精度やミクロンレベルの表面粗さを求められる製品に最適です。


メリットとデメリット

研削盤のメリット 研削盤のデメリット

精度と時間のバランスがカギ


研削盤を活かすには、適切な砥石選定と加工条件の最適化が不可欠です。

研削盤
という機械の本質は「精度」です。
切削加工に比べて加工時間は長くなるものの、ワーク1個あたりの砥石消耗は少なく、トータルでは安定した加工品質を維持できます。

ただし、工具費の削減を主目的に研削を選ぶことは少なく、寸法精度や表面品質の追求が最も大きな導入理由です。
次章では、実際に存在する研削盤の種類について詳しく解説していきます。


研削盤の種類

平面研削盤

平面研削盤は、工作物の平面を高精度に仕上げるための研削盤です。
砥石の軸方向(横軸・縦軸)とテーブルの形状(角テーブル・円テーブル)により、いくつかのタイプに分かれます。
量産向けの高能率加工から、金型などの精密加工まで幅広く使われています。
平面研削盤
平面研削盤とは?

平面研削盤の詳しい解説はこちらから!


円筒研削盤

円筒研削盤は、円筒状の外径を加工するための研削盤です。
トラバース研削やプランジ研削など、用途や形状に応じて使い分けられます。
自動車部品など、真円度が求められる部品の加工に多く使われます。
円筒研削盤
円筒研削盤とは?

円筒研削盤の詳しい解説はこちらから!


内面研削盤

内面研削盤は、穴の内径を高精度に仕上げるための装置です。
砥石が小径になるため、機械剛性や砥石の摩耗管理が重要です。
精密機器や金型の加工に多く採用されます。

センターレス研削盤

センターレス研削盤は、ワークを両端で支えず、外周を調整砥石とブレードで保持しながら加工します。
支持性と連続加工性に優れ、量産部品の加工に向いています。

工具研削盤

工具研削盤は、ドリル・エンドミルなどの切削工具を再研磨・製作するための研削盤です。
CNC制御が主流となっており、高精度かつ自動化された研削が可能です。

ジグ研削盤

ジグ研削盤は、位置精度が要求される高精度加工用の研削盤です。
ミクロンレベルの寸法管理が必要な穴の仕上げなどに使われます。

成形研削盤

成形研削盤は、砥石にあらかじめ形状をつけ、複雑な輪郭や曲面を加工する機械です。
金型部品や精密部品の加工に多く採用されます。

ねじ研削盤

ねじ研削盤は、タップやボールねじなど、ねじ山の高精度加工を行う専用機です。
スレッド形状の精度が品質に直結する製品に適しています。

歯車研削盤

歯車研削盤は、歯車の歯面を正確に仕上げる装置です。
創成研削や成形研削といった方式があり、自動車や機械部品の製造に用いられます。

万能研削盤

万能研削盤は、円筒・内面・端面など、多用途の加工を1台で対応できる汎用機です。
試作や少量生産に適しており、研究開発部門でも重宝されます。

ロール研削盤

ロール研削盤は、製鉄用ロールや大型ワークの外径研削に特化した研削盤です。
大型かつ重量のある部品に対応できる機械剛性が特徴です。

プロファイル研削盤

プロファイル研削盤は、カムやレンズ金型など、自由曲面や複雑形状の加工に特化しています。
高い操作精度と形状追従性が求められます。

CNC研削盤の種類

CNC研削盤は、コンピュータ制御によって精密かつ複雑な加工を自動で実行できます。
各種研削盤(平面・円筒・内面・工具等)にCNCが搭載され、高精度と生産性の両立が可能です。

砥石の種類と管理

砥石の構造と種類

砥石は、研削加工の仕上がりを大きく左右する重要な要素です。
構造は主に3つの要素から成り立ちます。 用途に応じて、砥粒の種類や粒度(粗さ)、結合剤のタイプが使い分けられます。
たとえば、CBN砥石は高硬度鋼に適しており、ダイヤモンド砥石は超硬材やセラミックスなどに適応します。

ツルーイングとドレッシング

研削加工では、砥石の精度と切れ味を維持するための「ツルーイング」と「ドレッシング」が必要不可欠です。 ツルーイングとドレッシングは一体の工程として行われる場合も多く、砥石の特性や用途に応じて頻度や方法を選ぶことが求められます。

選定基準と交換時期

砥石の選定においては、以下の観点を考慮する必要があります。
選定項目 ポイント 適用例
砥粒 対象材質に応じた硬さ ダイヤモンド:超硬材
粒度 粗さ(#46〜#600など) #120:一般仕上げ
結合剤 加工形態・冷却性の要求 レジノイド:切れ重視
交換の目安は以下のような状態です。
砥石径が使用限界を下回った場合
目詰まりや砥粒の脱落が頻発し性能が著しく低下した場合
研削面に焼けやチャターマークが出るようになった場合
定期的な点検と、砥石ドレッサーなどによる管理を行うことで、砥石の寿命と加工精度を長く保つことが可能です。


研削盤の操作と注意点

加工トラブルの対策

研削加工では、ワークや砥石にかかる負荷が高くなるため、トラブルが発生しやすいのが特徴です。
特に注意すべきトラブルには以下のようなものがあります。 これらを防ぐためには、砥石の選定・ドレッシング頻度の最適化・研削条件の見直しが不可欠です。
また、装置の剛性やクランプ方法の確認も重要です。

研削液と冷却管理

研削加工では砥石とワークの接触により大量の摩擦熱が発生します。
この熱を放置すると、焼き付き・変質・寸法異常などの重大な不良につながります。
そのため、研削液(クーラント)の使用と冷却システムの設計が非常に重要です。 特に精密加工においては、冷却の効率が加工精度に直結します。

初心者のよくあるミス

初めて研削盤を扱う際には、いくつかの共通した失敗があります。
以下は代表的な初心者のミスとその対策です。
ミスの内容 原因 対策
焼けが発生する 砥石の目詰まりや切込み過多 切込み・送り速度を見直し、ドレッシングを実施
仕上げ面が粗い 粒度が粗すぎる砥石を使用 細かい粒度を使用
砥石の消耗が早い 不適切な研削条件 加工負荷を低減し、冷却を強化

最初はトライ&エラーの繰り返しが大切!


正しい基本操作と点検習慣を身につけることで、加工不良を未然に防ぎ、生産性を高めることができます。

研削盤の選び方

加工精度と材質で選ぶ

研削盤を選定する際には、加工精度の要求対象材質に加えて、加工部の形状と加工数量が非常に重要な判断基準になります。
特に以下のようなポイントで機種を絞り込みます。

形状とロット数が、最適な機種選定のカギ!


さらに材質に関しても注意が必要です。 形状・数量・材質・精度の全要素を組み合わせて検討することで、最適な研削盤選定が実現します。

性能と機種の比較

用途に合わせて、研削盤にはそれぞれ異なる機能や構造が備わっています。 代表的な研削盤の比較を以下の表にまとめました。
研削盤の種類 特徴 適した加工
平面研削盤 平らな面の加工が得意 プレート、ブロック状の部品
円筒研削盤 外径・円筒面の加工 シャフト、ピンなど
工具研削盤 ドリルやエンドミルの再研削 切削工具の再利用
ジグ研削盤 高精度位置決めと内面加工 金型、精密機器
製品仕様書やメーカーの技術サポートも活用しながら、自社の加工要件に最も適した機種を選びましょう。

コストと設置条件

研削盤の導入を検討する際には、設備コストと設置環境の両面から現実的な判断が必要です。 費用対効果を最大化するためには、必要なスペックを満たす最小限の設備構成を目指すことが理想です。

価格だけでなく設置環境との相性も要チェック!



研削盤の最新動向

自動化とロボット化

近年の製造業界では、自動化ロボットの導入が急速に進んでおり、研削加工の分野でも例外ではありません。 代表的な自動化のトレンドには以下があります。 特に、中小企業でも導入可能な協働ロボットとの連携は、人的負担の軽減と省人化の実現に大きく寄与します。

省人化・夜間稼働が生産性アップの鍵!

デジタル制御の活用

最新の研削盤では、デジタル制御による高精度加工が標準装備になりつつあります。 以下のような技術が進化の中心です。 また、熟練者の技術伝承が難しい現在では、デジタルデータによるノウハウの可視化が、技能継承の手段として重要視されています。

操作性の向上

かつては熟練技能が求められた研削盤ですが、現在は誰でも扱いやすい操作性が設計の主軸となっています。 特に以下の点が改善されています。 これにより、経験の浅い作業者でも短期間で操作習得が可能となり、現場の属人化リスクが軽減されつつあります。

若手や初心者でも安心して扱える研削盤が続々登場!



まとめ

研削盤選定のポイント

研削盤を選定するうえで最も重要なのは、加工対象の形状・材質・精度要求・ロット数を正確に把握することです。
これらの条件によって、最適な研削盤の種類が異なります。

どんな形状を、どれだけの数量で加工したいのかがカギ!

砥石・加工条件との関係性

研削盤の性能を最大限に引き出すには砥石の選定と加工条件の最適化が欠かせません。
機械性能だけでなく、砥石の仕様・ドレッサ・研削液の組み合わせも成果に大きく影響します。
例えば、CBNホイールを用いた難削材の鏡面加工には、砥粒サイズ・結合度・ドレッシング条件を正しく設定する必要があります。
また、社内に設備がない場合は、試作テストや条件出しを行ってくれるメーカーの支援体制も大きな選定基準になります。

導入前に確認すべきこと

研削盤の導入を検討する際には、次の3つの観点を事前にチェックしておきましょう。

加工条件・人・設備すべてが揃ってこそ、最適な選定!


研削盤選定の成功
は、事前準備条件設定にかかっています。
慎重に比較検討し、最適な設備を導入しましょう。

よくある質問

初心者でも扱える研削盤はありますか?

はい、あります。
最近の研削盤は、操作性の向上が大きく進んでおり、初心者でも扱いやすいモデルが増えています。 作業者の経験に依存せず、安全かつ安定した研削が可能な機種も豊富です。

初心者でも立ち上げやすい設計の研削盤が続々登場!

どの研削盤を選べばよいかわかりません

研削盤の選定は、加工形状生産数量によって大きく変わります。
代表的な選定の基準は以下の通りです。
加工対象 適した研削盤 選定ポイント
平面部品 平面研削盤 高精度・仕上げ重視
丸棒・シャフト 円筒研削盤・センターレス研削盤 外径・量産に対応
金型・穴加工 内面研削盤・ジグ研削盤 高精度微細加工に適応
迷った場合は、加工内容を相談できるメーカーや砥石専門企業に一度お問い合わせいただくことをおすすめします。

研削で高硬度材を加工するには?

高硬度材(SKH、SKD、セラミックス、PCD、超硬など)の研削では、適切な砥石の選定加工条件の最適化が不可欠です。
特に有効な砥石は以下のとおりです。 重要なのは砥粒の種類だけでなく、結合剤や砥石形状、周辺装置との組み合わせです。
株式会社ニートレックスでは、難削材ワークを預かり、最適な砥石と条件の検証を社内テストで対応可能です。

高硬度材でも加工可能な砥石があります!


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